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チェコアニメーション
滑稽で愉快、また残酷でリアル、そして時には詩的で隠喩的…
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一言では言い表すことができないチェコ・アニメーションの一番の魅力は、その多様性と造形アニメーションでは考えられないほど、リアルかつ精巧に感情を表現するその技術。
そこで、まずはチェコ・アニメーションが生まれた背景からお話しましょう。

そもそも18世紀から続く、チェコ人たちのお楽しみと言えば人形劇。紀元前、ケルト族の宗教儀式だった人形劇は、17世紀神聖ローマ帝国に敗れ、ハプスプルク家の傘下となったとき、物語の中に当時の社会批判や憤りを織り交ぜながら、チェコ語で唯一コミュニケーションが図れる場、自分たちのアイデンティティを常に確認できる場 として発達していきました。

そのような中で個性を発揮したのが“チェコ・アニメーションの祖”と言われたイジー・トルンカ。
彼にとって子供の頃の最も強烈な体験だった人形劇にも自分が携わったのち、1945年、トリックブラザーズというアニメーションスタジオを設立。
そこで創りあげた第1作『動物たちと山賊』は当時、すでに高い評価を得ていたディズニー作品を破り、ヴェネチア国際映画祭を受賞。映像の中でもいきいきと存在する人形たちに多くの芸術家が魅せられ、トルンカに続いたのです。

社会の混沌や卑劣な抑圧が、かえって芸術家にとっては力強く何かを生み出す源となることもしばしばありますが、チェコもその例に漏れず、他国の政権略奪や現実の悪夢を払拭する手段として、芸術のみが表現の自由を許されたことが大きな理由の1つ。また、国家を賭けてアニメーション文化を擁護し、長編映画の前にかならず上映をしたことや、ディズニーを中心とするアメリカのセルアニメへの対抗心なども、世界中から高く評価される類い希なチェコアニメーション輩出の要因となっていったのです。

また、その抑圧の歴史は、彼らの扱う題材にも反映しています。
ファンタジーよりも、歴史、古代民話、一般的な庶民の生活を描いたもの、その中でユーモラスかつ叙情的、写実的で人物の心理を熟考させるような、作品が多いのもチェコアニメの特長でもかもしれません。

  ーチェコの芸術家は、世間についての理性を広いところでなく、深いところに求めようとしてきた …中略… 鳥のさえずりや子供の泣き声や喜び、これらが形成する小宇宙であった。このためにわれわれは人形を好む のかもしれない、またわれわれはこの最小の世界を通して、人生についてあらゆることを語り尽くしたいー
(イジー・トルンカ)


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